喧騒に背を向けるように、なにやら真剣な表情で車座になる人々の姿が。
いよいよ稽古初日を迎えた『ナイゲン(全国版)』関係者の皆さんです。
そもそも劇団が稽古を行う「稽古場」は、天井が高くて壁面には姿見があって床は体育館みたいなフローリングで……といういかにもそれらしい場所とは限りません。
あなたの家のご近所にもあるようなごく普通の公民館の、ごく普通の会議室が、稽古場として利用されたりもするのです。
初日の稽古場はまさかの和室でした。
この日行われたのは「本読み」。出演者が台本を見ながら各自の台詞を読み上げるという稽古です。
ただ声に出して読むだけではなく、たとえば劇中でスマホを皆に見せる「Iは地球をすくう」代表者役・さいとう篤史さんは実際に手元でスマホを操作してみたり、「海のYeah!!」代表者役・斉藤コータさんは会議室を飛び出す場面で「ありがとうございま……っ」と語尾の声量を絞って遠ざかる様子を表現したり。「おばか屋敷」代表者役・古屋敷悠さんが隣の1年代表者達を問い詰めるくだりでは、声が上擦り息も荒くなる古屋敷さんに座から笑い声が上がったりも。
とは言え動きは最小限、役者さんは基本的に席から動かず、視線は手元の台本に釘付け。
会話は間違いなく成立しているのに、発言者は視線を合わせない。
床は畳敷き。座卓に座布団。本番を連想させるものといえば
壁の時計と
卓上のペットボトル類くらい。
なんとも奇妙な空間が出現していました。
作品終盤、承認採決から審議続行の場面へ。脚本・演出の冨坂友さんが校内放送と文化祭実行委員長呼び出しを読み上げたところで、
「時間切れです!」
退出時間が迫ったため、稽古は打ち切りに。
(この日の施設利用時間は18〜21時、撤収作業のため約10分前には稽古終了)
机・座布団の片付け前には冨坂さんから作品中盤の台本変更予告があったりと、もろもろ波乱含みの稽古初日でした。
ごあいさつが遅くなりました、番記者と申します。
『ナイゲン(全国版)』公式サイト活性化のため、これより不定期に稽古場潜入レポートをさせていただきます。
2か月後の新宿FACE公演まで、お付き合いいただければ幸いです。