
昨日は初日と同じ施設で稽古。今回は洋室でした。
こちらの施設は土足禁止で、入り口のところにスリッパが用意してあります。ただ稽古中はかなり動き回るので、裸足になる方、靴下や自前の上履きを履いてらっしゃる方も。
「どばーっとやってみましょう。大事故が起こらない限り止めません!」
そんな冨坂さんの宣言とともに、配られたばかりの新台本もひとまず棚上げ、アップゲームなしでいきなり稽古突入。
議長と監査が会議室に戻ってくる場面から海のYeah!!の審議終了まで、本当にノンストップ。
所要時間は約1時間、実際の上演時とほぼ同じくらいでした。
2013年版から変わっていない懐かしい場面がある一方で、2週間程前に潜入したときからさらに変化しているところもあり、新鮮な驚きを感じつつ思わず引き込まれてしまいます。
ストップがかかった後は演出のターンへ。いつも通りさまざまな指摘が入ったのですが、そのなかに「台詞の聞き取りやすさ」に関するものがいくつかありました。
番記者はさほど気にならなかったのですが、それはある程度脳内で自動補完されていたせいだったかも知れません。
台詞が聞こえなければお芝居は伝わりません。どこでどんな台詞が出て来るか、後の場面につながる台詞はどれかという予備知識のない初見のお客さんにも、確実に届けなければいけないわけです。
特に「海のYeah!!とアイスクリースマスは台詞以外の声が大きい。教室公演は客席との距離が近いからそれだけ喋ってると他の声が聞こえない」との指示を聞いたときは、「おお、今からそこまで想定しないといけないのか……」とひそかに驚いていました。
その後は早退する古屋敷さんが中心となる場面を重点的に行い、古屋敷さん退出と休憩を挟んで、いよいよ本格的に新台本との格闘が始まりました。
この「格闘」というのは決して大げさではありません。なんでも出力時にトラブルがあったとかで、一部のデータが吹っ飛んでしまったのです。
消えた台詞を補い(いくつかは話し合いの過程で冨坂さんが思い出して下さいました)、残っている台詞を改良し、前後の場面との整合性を検証するための協議を経て、稽古再開。新台本の場面と、そこから続く海のYeah!!トイレ攻防戦のくだりを重点的に。

/*このあたりは完全新規ですので今のところ情報は小出しにしておきます*/

「監査委員長は中立の存在であることを明示する必要があるので、台詞から攻撃的要素をなくすために相手の発言を受ける語を入れる。ただし会話は簡潔に」という方針により沈さんの台詞が二転三転。しかも「では≠入れるか入れないか」のような細かいところに至るまで。
新規部分はスムーズにいくところばかりではありませんし、稽古開始から4、5時間経つと役者さんもミスが増えてきます。
それでも、冨坂さんと役者さん達、それぞれの主張あるいは提案がうまくお芝居に反映されている。「試行錯誤」の「錯誤」がだんだん減ってきている、あるいは「試行」がそのまま生きて次の場面につながることが増えている。
昨日の稽古は、観ていて「ああ、うまく回ってる」と感じる瞬間が多くありました。
それと関連しているかどうかはわかりませんが、昨日は稽古場潜入を始めてから一番、時間の経つのが早かったように思えました。

おまけ:沈さん画「エコエコアザラシ」ラフイラスト